英語学習者の中には「シャドーイング」という学習法を取り入れている方も多いかと思います。
シャドーイングの効果は非常に高く英語4技能を鍛えられるおすすめの勉強法(特にリスニングに効果的)ですが、それは正しく行った時の話です。
今回は効果を半減させるNGなシャドーイングのやり方を4つご紹介します。
そもそもシャドーイングとは?
シャドーイング(shadowing)とは、流れる英語の音声から0.5〜2語程度遅れ、影(shadow)のように追いかけて発声を行う練習法のことです。聞いた音を口から出すことがポイントです。
同時通訳者を目指している人たちの間でも非常に有効とされている勉強法であり、第二言語習得研究などでも高い効果が認められています。
耳と口を使い音声とその文章の意味を結びつけるトレーニングで、英語脳を作ることを目的にしており総合的な英語力を鍛えられる勉強法としても注目を集めています。
英語シャドーイングの基本的なやり方
まずはシャドーイングの基本的な流れをお伝えします。
音声がないと何も始まりません。好きな音声を選びましょう。
長い音声でも30秒~1分の長さの箇所を抜粋し、練習することをおすすめしています。TOEICパート3,4も丁度よい長さの文章でおすすめです。
知らない単語が多すぎる場合は別の音声に変えても構いません。「自分のレベル+ちょっと上(i+α)」が上達のポイントです。
まずは音声なしでスクリプトを音読します。声をしっかり出して行いましょう。 「内容を理解できる速度」から始め、次読むごとにスピードを上げていきます。20回以上音読できると内容も速度も安定してくるでしょう。
シャドーイングは「聞こえた音を真似して発音する」ものです。スクリプトは補助的に使い、聞いた音を真似するようにしてください。徐々に下記の「プロソディシャドーイング」から「コンテンツシャドーイング」が出来るよう意識します。
プロソディーシャドーイング(聞いた音を真似する。音に注力。意味理解はしなくても良い。)
コンテンツシャドーイング(聞いた音を真似する+内容も理解しながら行うシャドーイング)
最後は完全に音声だけで練習を行います。上級者(目安TOEIC860以上)やシャドーイングに慣れている人はいきなりここから始めても良いですが、基本的にはStepを踏んで行う方が精度も効果も高まります。
ここでもステップ4で行ったプロソディシャドーイングから始め、徐々に内容も理解しながら行うコンテンツシャドーイングに移行しましょう。
選んだスクリプトを1日だけシャドーイングして終わりではなく、3~5日程度は同じ素材を練習するがおすすめです。歌のメロディーや歌詞を覚えるのもそうですが、繰り返すことで意識せずとも自然に口が動く状態が作れます。「自動化」といいますよ。
間違ったシャドーイングのやり方4つ
シャドーイングをいざ取り入れてみても思ったより効果がなかった…という人もいるかもしれません。その時にはやり方が間違っていることも多いです。
私の受講生の方でも開始直後は似たような間違いが多いため、代表的なものを4つご紹介します。
- 全く同じ速度で発音している。
- レベルに合っていない教材選び
- 英文・単語の意味を理解せずに行う
- 思考停止でただ真似をするだけ
ひとつずつ見ていきましょう。
① 全く同じ速度で発音している
これは一番多い間違いです。シャドーイングはあくまでも「聞いた音を真似する」ことがポイントです。
音読を繰り返しやり込んでいくとスクリプトを覚えてしまうので、同時になってしまうのですね。
悪いことではないのですが、これは「オーバーラッピング」という別の勉強法になり、目的や効果も変わってきます。
シャドーイングでは何度行っても「聞いた音を真似する」ことを意識しましょう。
「音声についていかなきゃ…!」という意識が強まると同時に発音してしまう傾向にあるため、敢えてゆっくりの速度に落として練習をすることも一つの方法です。
② レベルに合っていない教材選び
第二言語習得研究において、i+αのレベルが重要だとされています。
iは現在学習者が持っている知識を指し、それに加えて「+α」”ちょっと上”のレベルの学習が効果を上げるとされています。
そのため、「ネイティブのように話したいから全然分からないけど早いスクリプト!」「単語もフレーズも分からないけどこれにしよ」等は効果が落ちやすくなります。
これらも時間を掛けて行うなら構いませんが、ぜひ自身のレベルに加え、”ちょっと”難しいなと思う程度のものを選んでみてください。
TOEICパート3,4の音声でも良いですし、それではつまらないという方は、好きな映画やドラマ・アニメ等から選んでも良いでしょう。繰り返し練習することも大切なので、30秒~1分間シーンを抜粋して行ってみてください。
③ 英文・単語の意味を理解せずに行う
単語の意味がわからないままシャドーイングをすると、コンテンツシャドーイングが出来ません。
ゴールをこの内容を理解しながら行うコンテンツシャドーイングに設定することで効果がより上がります。
意味理解を行いまま練習をしても、別の機会にその単語やフレーズに出会っても当然内容を理解できずに終わってしまいます。
そうならないためにもレベルに合った音声を選び、前述のステップ2「スクリプトを見て知らない単語・表現をチェック 」を踏んでから取り組んでください。
④ 思考停止でただ真似をするだけ
コンテンツシャドーイングでは音だけでなく、頭で内容をイメージしながら音声を繰り返すことが大切です。
これをせず何も考えずに真似をするだけではシャドーイングの効果は半減します。
シャドーイングに慣れてきたら「誰かと会話をしているつもり」「誰かに話を伝えるつもり」で行ってみましょう。
身振り手振りを入れても良いかもしれません。意味とリンクしていないと体が動かないはずです。
正しいシャドーイングのやり方で効率的に英語力アップを目指す
いかがでしたか?今回は英語学習で高い効果を生み出すシャドーイングについてお伝えしました。
どんなにメリットの多いやり方でも正しく行わないと十分な効果は得られないので、ここで紹介した間違ったやり方に該当する方はぜひ今日から改善してみてください。