なぜ日本人は日本人の英語に対して厳しいのか スパイト行動とともに考える【in spite of のspiteの意味】

こんにちは!KOKO ENGLISH英語講師のだいちです。
今回は「日本人が日本人の話す英語に厳しすぎる」ということについて話していきます。
これ、結構大きな問題だと思っているんですよね。
何かをやりたい!上達したい!という人に対して「いや、無理でしょ」「下手じゃね?」「〇〇の方が上手いよ」みたいに言う方、一定数いますよね。なんというか、気分が下がってしまいます。
(冷笑系が増えているので「みんなで切磋琢磨しようぜ!」という熱血系を増やしたい…!)
英語に関して言えば、下記のような方が一定数います。
英語に厳しい日本人
・クラスメートの英語の発音が少し違うだけで、周りがクスクス笑っていた
・ネイティブを意識して頑張って英語を話しているのに、陰で「イキってる」と言われた
・英語を勉強していたら「意識高い系」と馬鹿にされた
・Youtubeで英語で発信している方に対して「発音下手くそ」「この位なら友だちの方が上手い」等のコメント
せっかくの英語で世界を広げたい、という前向きな気持ちが、こんな言葉でしぼんでしまうのは本当にもったいないなと。
私自身、昔Youtubeで英語の発音上達の過程を発信していたことがありますが、「全然上達してない。下手」のようなコメントを毎回書いてくる方がいました。
気に入らないなら動画を見なきゃいいのに…、と思うばかりでした。私自身気にしないように意識はするのですが目に入るとやっぱり凹むタイプです、しょぼん。
ということで、今回は“なぜ日本人は日本人の英語に対してこんなにも厳しいのか?”を考えていきたいと思います。
スパイト行動について

なぜ日本人の英語が日本人の英語に対して厳しいか、この心理傾向の一つに行動経済学の「スパイト行動」が関係しているはずです。
スパイト行動とは? 日本人に多い?
スパイト行動とは…自分にとって明確な利益がないにもかかわらず「相手の利益を減らすこと」を目的に行動すること
⇒西條氏の実験では「自己の取り分を減らしてまで相手の取り分をよけいに減らす行為を 「スパイト(いじわる)」行動と名付けました。」とあります。
実験内容については省きますが、アメリカの被験者と比較して日本人の被験者がスパイト行動を取る割合が顕著に多かったそうです。人を出し抜きたい、下げたい、損した気分になる、という方が多いのかもしれません。気になる方は下記ご覧ください。
スパイト行動について 実験内容はこちら(PDFです)
西條辰義『日本人は「いじわる」がお好き?!』
spiteの意味とin spite ofについて
spiteという単語、“in spite of”という表現で知っている方は多いかもしれませんね。in spite of の意味は「にも関わらず」と覚えていることでしょう。
実はspiteは「悪意、意地悪、反抗、軽蔑」という意味なのです。
そのためin spite ofも元々は「悪意のある状況内で(その逆境にも関わらず)~」という意味。
それが転じて現在の「にも関わらず」の意味として使われるようになりました。
スパイト行動は「悪意のあるいじわる行動」ということです。
他人の不幸は蜜の味といいますが、少なくともここを見ている方はその蜜を求めるようにならないでね…!(お兄さん?との約束だよ!)
英語学習におけるスパイト行動
私が思うに人を蔑むことは「誰でも手軽に出来る無料の娯楽」だと思っています。
瞬時に安心感、優越感が手に入る、そんな甘い蜜。反動は大きい。
私も気を付けていますが、それでもそんな思考がちらつくことも。日本人なんだなぁ、難しい。
さて、英語学習におけるスパイト行動は、こんなかたちで現れます。
英語学習者に対するスパイト行動
・発音や文法を過度に揶揄する:発音マウントや文法警察。「カタカナ英語だね笑」「ネイティブはそんな言い方しないよ」
・間違いを笑う/晒す:「変な英語!」「これで良く動画出せるなw」とコメントや共有
・勉強や挑戦そのものを批難:「英語なんで誰でも話せる」「留学なんてお金払うだけじゃん」
・褒めるより粗探し:「話す機会もないのに勉強してどうするの?」「1年海外行ってこれ?」
英語を特別視している方は経験上少なくなく「目立つこと=叩かれるリスク」という構図につながりがちです。
特定の人が注目されているように感じると、自然とスパイト行動が出てくるのかもしれません。
「俺の方が」「私だって」「なんだあいつ」と嫉妬の感情は人である以上生まれることもあると思います。
それを各々が認め感情を処理できれば良いのですが、日本は同調圧力や「出る杭は打たれる」という文化が根強いため日本人が日本人の英語に対して厳しくなっているのかもしれません。
どうにかポジティブな雰囲気に持っていければ良いなと思う、この頃。
SNSに関してのマイクタイソンの投稿が好きな件
SNSに関しては重量級のボクサー、マイクタイソンが2020年7月にFacebookに投稿した内容が個人的には好きです。ボクサーということもありストレートな発言。真っすぐです。
“Social media made y’all way too comfortable with disrespecting people and not getting punched in the face for it.”
– Mike Tyson (マイクタイソン本人Facebook投稿より)
SNSのせいでお前らみんな人を馬鹿にしても顔面パンチされない状況に慣れすぎている
我々にできること

素直と優しさを胸に、自分を認め、人を認める。
この意識が大切だと思っています。
抽象的な言葉ではありますが、これがひとりの英語講師として思うことです。
批難・批判される側は、逆に誰かの悪意を言葉通りに取り過ぎない意識を。
私も感情が強い人間なので、割と人の言葉をそのまま受け取り大ダメージを受けることが多いです(いつもクリティカルヒット!)。
でも、少なくともここの読者の方。一緒に「素直と優しさを胸に、自分を認め、人を認める。」を意識しませんか?
批難・してくる方も、事情があるんだなと思えば、少しは変化があるはず。
Small steps lead to big changes.です。
英語学習:英語は完璧でないとならないか?
「英語は完璧でないとならないか?」という問い。
答えは…勿論NO!です。
英語は完璧である必要は全くありません!
寧ろ日本生まれ、日本育ちで完璧な人を見たことがありません。
「じゃあ、少しならミスしても良い?」
YES!!!むしろもっとミスしよう!!
ミスする回数が多いのはそれだけ挑戦回数も多いということ。
英語を教える身としてよく受講生に伝えるのは
「伝わる英語を目指そう」ということです。
伝わってコミュニケーションが出来る喜び。
世界中の人と話すことが出来る楽しさ。
仕事で有意義に使える面白さ。
こういった小さな幸せを嚙みしめていきましょう。
自分の成長を自分で感じれることが、語学学習の面白さのひとつだと思っています。
おわりに
私ができることは「素直と優しさを胸に、自分を認め、人を認める。」この意識くらいです。
そして少なくともKOKO ENGLISHの受講生が英語を面白いと感じて、過ごしてくれたら嬉しいなと。
気質的にスパイト行動を取りやすい国民性ではあるけれど、一人ひとり、少しずつ意識が変わり、人に厳しすぎない雰囲気・風潮が生まれていって欲しいです。
“Be kind, for everyone you meet is fighting a hard battle.” – Plato